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天才・小野伸二が語った“神”たち。山崎光太郎、中村俊輔への「すごっ」。

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2015年3月に発売したNumber874号の取材で、ラモス瑠偉さんがこう言っていた。 

「日本で天才がいるとしたら、僕は一人だけだと思う。小野伸二。もし怪我してなかったら、化け物みたいな選手になっていたよ」 

サッカーにおいて「天才」の定義は難しい。シンプルに言えば「サッカーがとてつもなくうまい選手」ということになるだろうが、「うまい」の種類もさまざま。 
華麗なドリブルで相手DFを何人も抜いてしまう人、正確無比なキックで味方の足元にぴたりとパスを届ける人、 
抜群の嗅覚でゴールネットを揺らす人、などなど。それぞれのサッカー観によって、「うまい」のイメージは違ってくるだろう。 

では、ラモス公認の「天才」小野伸二はどう考えるか。5月、北海道コンサドーレ札幌のクラブハウスで、本人に聞いてみた。 

サッカーがうまい人って、どんな選手だと思いますか?  

天才は、いつもの柔らかな笑顔とともにこう語り始めた。 

「うまい選手って、会った瞬間にわかるんですよ。まずオーラがある。相手が小さい子でもそう。すれ違ったときに『あれっ? 』って。 
顔つきが違うし、雰囲気がめちゃめちゃ出ているんですよ。わかる人にはわかるかもしれないですけど……」 

1歳上の「本当に神様」だった選手。 

ほぉー。と、相槌は打ったものの、凡人にはやっぱりわからない。ならば、小野のキャリアの中で出会った「うまい」と思った選手は?  
小野がまず挙げたのは同郷の先輩、名古屋グランパスエイト清水エスパルスヴァンフォーレ甲府で活躍したドリブラーだ。 


山崎光太郎さん。1歳上で、もともと名前は知っていたんですけど、中学2年のときに地域選抜のセレクションで初めて見て、“この人、すげぇな”って。 
プレーも、雰囲気も、1人だけ別次元で。身長は165cmくらいですけど、技術が高くて、FWとして動き出しがすごくいい。 
僕のタイミングを理解してくれるから、めちゃめちゃパスが出しやすかったですね。タカ(高原直泰)は光太郎さんと同じ清水東高出身だから、きっと僕と同じことを言うと思います。 
僕らの高校時代、光太郎さんは本当に神様でしたから」 


俊輔のプレーは、小野でも予想できない。 

続いて小野が挙げたのが、あのレフティーだ。 

「シュンくん(中村俊輔)は1学年上で、高校時代に対戦したことはなかったんですけど、横浜マリノスでのプレーを見て、“すごっ”って思いましたもんね。 
シュンくんのプレーって、観ていてワクワクするじゃないですか。“ここにパスを出すだろうな”という予想を良い意味で裏切って、“そこか! ”ってところに出せる。 

そして何よりフリーキック。あれは神ですよ。蹴った瞬間に、“これ入る”ってわかっちゃう。シュンくんと一緒に試合に出ていたら、自分がフリーキックを蹴ろうなんて思わないですもん。僕だって、横で観ていたい(笑)」 

ジダンの間合いはまさに「無」。 

小野は日本代表として、国際Aマッチ56試合に出場した。2001年夏にフェイエノールト(オランダ)へ移籍し、加入1年目でUEFAカップ(現ヨーロッパリーグ)の優勝トロフィーを掲げた。 
対戦相手としても、チームメイトとしても、数々のビッグネームとプレーしている。その中で、最もサッカーがうまかった選手は誰か。 

ジネディーヌ・ジダン。本当のすごさを感じたし、もう、あの人の間合いには誰も立ち入れなかった。ボールを奪いに行っても、絶対に取れないと思うんです。 
今までそういう選手には出会ってこなかったけど、彼だけは“何を考えているんだろう”って不思議だった。“次はこうするよ”という気配を出さない。『無』な感じなんです」 

きっと清水商高校時代や浦和レッズでのルーキーイヤーに小野選手と対戦した相手は、同じように「絶対に取れない」と思っていたんじゃないですか?  

そんな感想を伝えると、目の前の天才は照れくさそうに笑った。 

ラモスさんだけじゃなく、多くのサッカーファンが「もし怪我してなかったら、化け物みたいな選手になっていた」と思うはず。 
それほどまでに、今回のインタビューで小野伸二が語った「怪我をする前に見えていた光景」は、すごかった――。