激フットボールNEWS

国内外問わずサッカー最新NEWSを配信!

大迫勇也は“ボールを失わない” ブレーメンで築き上げた信頼「一番に僕を見てくれた」

約5カ月ぶりのフル出場を果たしたブレーメンFW大迫勇也【写真:Getty Images】
約5カ月ぶりのフル出場を果たしたブレーメンFW大迫勇也【写真:Getty Images】

ホッフェンハイム戦でポスト役として機能 「すごくやりやすかった」

 攻撃的な選手であれば「上手くスペースでフリーになれたけど、ボールが出てこなかった」という感想を試合後に持つことがよくある。受け手として上手く相手選手の死角に入りこんだものの、出し手がそこへの注意を払っていなかったり、そもそもパスを出せる状況じゃないことも多々ある。何度もそうしたシーンが続くとパスが出てこない選手が苛立つジェスチャーを味方に送ったりする。サッカーの試合ではよくあることだ。

 それがブレーメンでは大迫勇也がスッとフリーになると、とてもスムーズにパスが出てくることが多い。

「一番最初チームが僕のことを見てくれたので、自分としてもすごくやりやすかったし、いつものペースでできましたね」

 大迫は1-0で勝利した、11日のブンデスリーガ第33節ホッフェンハイム戦後にそう振り返った。この日はキャプテンでエースのマックス・クルーゼが欠場。攻撃力の低下が危ぶまれ、実際に普段よりはチームとしての効果的な攻撃が少なかったかもしれない。それでも大迫を起点にチャンスを作り出し、来季のUEFAヨーロッパリーグ(EL)出場の可能性を残すためにも勝ち点3が必須だった試合を見事にものにした。

 特に前半は、相手のオーストリア代表MFフロリアン・グリリッチュの激しいプレスをものともせずにボールを落ち着け、攻撃のリズムを作っていくシーンが目立った。パスが出てくるということは、受け手と出し手が共有しているイメージが一致しているということだ。ボールが大迫に入ると、周りの選手はすぐに動き出す。預ければボールを失わない。そして走れば、そこにパスが出てくるという信頼がある。

 1-0で迎えた前半43分には、上手くペナルティーエリア内に走りこんでパスを受けた大迫が、追いすがるグリリッチュを巧みなスクリーンでかわすと、タイミング良くスペースに顔を出したマキシミリアン・エッゲシュタインに柔らかいタッチでスルーパスを通し、そこから待望の追加点が生まれたかと思われた。残念ながらビデオ判定の結果、少し前のプレーでヨハネス・エッゲシュタインに空中戦での競り合いでファウルがあったとして取り消されてしまったが、相手の守備を無力化する見事な攻撃だった。

約5カ月ぶりのフル出場、最終節で逆転でのEL出場権獲得を狙う

 貢献度が高いのは攻撃面だけではない。後半は来季のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得に向けて勝たなければならないホッフェンハイムが、攻撃的な選手を次々と投入し、ブレーメンは徐々に押し込まれていってしまう。ボールを奪っても素早く前線からプレスをかけてくる相手をいなすことができず、大迫も守備に奔走するようになる。それでも足を止めることなく必死に相手へ食らいついていく。最後のところで、相手のシュートを体を張って跳ね返すシーンもあった。

 終盤は動きも鈍ってくる。4月に負傷から復帰を果たしたばかりのコンディションは、まだまだ完調とは言えない状態だ。大迫も「疲れは少なからずある。復帰したばかりですし」と認めていたし、フロリアン・コーフェルト監督も「本当は60分には交代させようかともプランしていた」と明かしていた。

 それでも指揮官は、大迫をピッチに残した。後半27分、同45分にはカウンターから長い距離を走りシュートまで持ち込んだ。「欲を言えば僕自身、点を取りたかったですけど、最後ちょっとパワーが足らなかった」と振り返るように、シュートが枠を捉えることはできなかったものの、チームのために攻守に奮闘し、実に第13節バイエルン戦(1-2)以来となる約5カ月ぶりのフル出場を果たした。

 DFBポカール決勝に首位バイエルン・ミュンヘンと3位RBライプツィヒが勝ち上がっているため、7位まで来季のEL出場権が与えられる。9位ブレーメンも可能性を残したものの、最終節ではホームでライプツィヒに勝利し、勝ち点「2」差の7位ヴォルフスブルクと勝ち点「1」差の8位ホッフェンハイムが、それぞれアウクスブルクマインツに引き分け以下という結果にならなければ、来季ヨーロッパへの扉は開かれないのだ。厳しい状況なのは間違いないが、大迫は力強く語った

ヨーロッパリーグというより、勝つことだけしか可能性はない。勝つこと、それだけです。頑張ります」

 余計な計算はいらない。目の前にある試合に集中して臨み、チーム一丸で今季最終戦を勝利で飾る。幸運が微笑んでくれることを祈って戦いきるのみだ。